-時事連載①- 開成中学校でも出題!QUADって何…?
皆さんこんにちは!
皆さんは、2022年に日本で首脳会談も開催された「QUAD」と呼ばれる外交枠組みについてご存じでしょうか?
よくニュースでも報道されていますので、聞いたことがある人も多いかと思いますが、詳しいことは知らないのではないでしょうか。
実は、2023年度開成中学校入試にも、この「QUAD」についての問題が登場しました。あまり大衆に認知された会議でも無いので、解けた受験生も少なかったはず、、、
今回は、そんな「QUAD」について紹介します!!
QUADって何?
QUADとは、『日米豪印戦略対話』または『4か国戦略対話』と呼ばれる、戦略的同盟を結ぶ四国による対話の枠組みです。
英語でQuadrilateral Security Dialogue(直訳:四辺形の安全保障対話)となっているので、これの頭を取って「QUAD」と呼ばれています。
スケートの世界でクワッドアクセルと言ったら4回転アクセルを指すように、”Quad”という語には ”4つの” という意味がありますので、それも含めてこの略称がちょうどよかったのでしょう。
そんな「QUAD」の基本理念は、『「自由で開かれたインド太平洋」の実現を目指す』こと。自由や民主主義、法の支配といった基本的な価値観を共有し、インド洋・太平洋を取り囲むように位置する4国により、インド洋・太平洋全体の国際秩序を保つために結成された枠組みです。
「QUAD」なぜ今、活動再開?
設立は2007年5月。
当時の日本の総理大臣であった安倍晋三氏が提唱し、それに3国が追随する形で設立されました。
元をさかのぼると、2004年にインドネシアで起きたスマトラ沖地震で4か国がチームを組み、国際社会の支援を主導したことから、この4か国での枠組みに至ったとのことです。
ただ、枠組み締結後すぐ、日本で政権交代が起こったことに端を発し、枠組みは一旦の停止を余儀なくされます。
民主党の鳩山政権は自衛隊インド洋派遣の撤退を決め、普天間基地移設問題で日米関係も悪化。尖閣諸島関連の問題により日中関係も悪化し、「QUAD」どころではなくなってしまいました。
ですが、第二次安倍政権が発足。安倍総理が就任当初から掲げる『自由で開かれたインド太平洋』構想と各国が共鳴する形で、「QUAD」は再び動き出しました。
日米豪で合同軍事演習を行い、4国では各国軍間で物品や役務の相互提供を可能とする「物品役務相互提供協定(ACSA)」が締結。次第に4国は足並みをそろえていきます。
19年9月には初の4国外相会談を行い、翌20年の外相会談で定例化を決めました。
そして21年3月、アメリカのバイデン大統領の強い呼びかけにより、初の4国首脳会談がテレビ電話会議で実現します。9月にはワシントンで対面の首脳会談。遂には昨年22年5月に、日本の東京で4か国首脳会談に至るのです。
21年3月ではコロナ対応、ワクチン、気候変動などの共通見解をつくりやすい部分から始まった会議内容は、21年9月にインフラ・サイバー・宇宙についても追加。
22年5月の東京首脳会談では、ウクライナ情勢を契機として、中国の台湾有事を念頭に、〈力による一方的な現状変更をいかなる地域においても、とりわけインド太平洋地域で許してはならないことを確認する〉という、とても踏み込んだ内容となりました。

出典-首相官邸特設サイト『QUAD Leaders’ Meeting TOKYO2022』
21年3月の頃からバイデン大統領が呼びかける根底には中国対応があったとされ、中国外務省も当時からけん制する姿勢を見せています。中国情勢の変化や危機意識が、4国の距離を急速に縮めていったとのことでしょう。
その重要性を象徴するように、G7とG20の首脳会議以外で初めてとなる、総理官邸HPでの特設サイト立ち上げとなっています。(特設サイトはこちら)
そんな中国も念頭に再開された「QUAD」ですが、設立当時から中国の存在は意識されていたようです。2007年の記事では豪・印が中国を仲間外れのようにすることに配慮し枠組みの締結そのものに消極姿勢であったとされています。
開成の入試問題ではどう出題?
記事冒頭で書いた通り、2023年度開成中学校入試では、「QUAD」に関する問題が出題されています。
という問題。
ここまで記事を読んでくださった方にはわかるでしょう。
もちろん正解はオーストラリア・インドですね。
ですが、開成中を受ける高レベルな受験生を相手にした問題とは言え、正答率はそこまで高くないでしょう。G7やASEAN、TPPなどは有名ですしある程度加盟国も覚えている受験生が多いと思いますが、なにせそこまで知名度が高くないので、、、
逆に言えば、時事問題としてちゃんとチェックしていた受験生は取れたわけですから、差がついた問題と言えるでしょう。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
なかなか知名度がない『QUAD』、でもそれによって差がつくとは、、なかなか難しいですね。
今年2023年行われる国際会議も、受験生にとってはちゃんと把握しておく必要があるでしょう。
何と言っても今年行われる国際会議、一番大きなものはやはりG7広島サミットでしょう。広島サミットについても、行われ次第情報をまとめていきたいと思います。
今回は以上です!
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最後まで読んで下さりありがとうございました!
《参考文献》
–首相官邸特設サイト『QUAD Leaders’ Meeting TOKYO2022』
–Wikipedia『日米豪印戦略対話』
–NHK政治マガジン『クアッドってなに?焦点は?』(22年5月14日)
–日本経済新聞『Quad(クアッド)とは 日本の提唱が契機』(21年3月13日)